bookmylife

このブログでは私たちの身の回りで起きていることを「科学」している本を要約していきたいと思っています

なぜ人は失敗から学ぶことができないのか「失敗の科学」①

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「失敗の科学」

失敗への考え方を変える

 

成功するカギは「失敗とどう向き合うかにある」

 

航空業界:事故があったら、飛行データやコックピット内音声が記録されているブラックボックスを回収し、データ分析により原因を究明する。そして、二度と同じ失敗がなされないよう対策が取られる

 

医療業界:予期せぬ結果が起きた時「ミス」ではなく「複雑な事態がおこった」と解釈する。そして、「技術的な問題が生じた」「不測の事態だった」と説明する

 

・実は、どんな業界で起こってるミスもある一定のパターンをたどっている

→だからこそ失敗から学び、そのパターンをみつけることが必要

 

・私たちは自分が失敗したときは言い訳をし、他人が失敗するとすぐ責め立てる

 

クローズド・ループ現象:失敗や欠陥にかかわる情報が放置されたり、曲解されたりして進歩につながらない現象

例:昔、医学には「瀉血」(血液の一部を抜き取る排毒療法)という治療法があった。この瀉血は病弱な患者からさらに体力を奪うものだった。医師達はその治療法を一度も検証しなかった。患者の調子が良くなれば「瀉血で治った!」と信じ、患者が死ねば、「よほどの重病だった。瀉血でさえ救うことができないなんて」と思い込んだ。

この現象は政府機関、企業、病院、私たちの日常生活などあらゆるところで見られる

 

・間違いを教えてくれるフィードバックがなければ、訓練や経験を何年積んでも何も向上しない

例:暗闇でゴルフの練習をしていても、ボールがどこへ飛んで行ったかわからないので、改善しようがない

→改善のためのデータがなければ試行錯誤はできない

→だからこそフィードバックが必要

 

・人は自分が信じたいことを信じる

→医師たちは瀉血を盲目的に信じたせいで、患者を殺した

→失敗に対する考え方を変えない限り、無益な信念は捨てられない

 

なぜ人が失敗から学ぶことは困難なのか

 

人は自分の信念と相反する事実を突きつけられると、自らの過ちを認めるより、事実の解釈を変えてしまう

 

・人は自分の信念にしがみつけばつくほど、相反する事実を歪めてしまう

 

例:ある宗教の教祖が特定の日を指し、世界が終末すると予言した。しかし、その日を過ぎても何も起こらなかった。信者はどういう反応を示したか。

→神は私たちの信心深さに感心して、世界を救ってくれた!と事実の解釈を変えた

→信者たちは失敗に動揺するどころか以前にも増して、信奉するようになった

 

 

 ・努力が判断を誤らせる

例:学生を2つのグループにわけある討論会に参加してもらった。ただし、討論に参加するには「加入儀式」を受けなければならない。1つ目のグループの儀式は官能小説の過激なシーンを読み上げさせた。2つ目のグループはとても軽い儀式だった。その後、討論会で意図的に退屈な内容にした録音テープが流された。テープが終わり学生たちは討論会の感想を聞かれた

軽い儀式のグループ:「つまらなかった」などの否定的意見

恥ずかしい儀式のグループ:「興味深かった」などの肯定的意見

 

・最も失敗から学ぶことができていないのは、最も失うものが多いトップの人間である

 

・間違った仮説から抜け出す唯一の方法は、失敗をすることである

→わかっていることより、まだわかってないことを見つけることのほうが重要

 

・記憶は頭の中で自由に編集される

→私たちは自分が「実際に見たこと」より「知っていること」に記憶を一致させる傾向がある