将来の夢がない、やりたいことがない→それが普通です「RANGE~知識の幅が最強の武器になる~」①
ゆっくり、幅広く学ぶが最強!!
早期教育は過剰評価されている
※ここでいう早期教育とは幼少期から狭い分野に専門特化することを指す
よく人は「世界が複雑化し、競争が激しくなる中で、その世界を渡っていくためには早いうちに何に取り組むか決めるべきだ」と言う。だが...
二種類の学習環境
「親切な」学習環境:同じパターンが繰り返され、ルールが明確で、フィードバックを正確に得られる環境
例:チェスやゴルフなど
「意地悪な」学習環境:ルールが不明確、不完全、繰り返されるパターンがあったりなかったりする環境
例:金融、政界のトレンド予測など
世の中の大多数の領域は「意地悪な」環境
・「親切な」学習環境においては早期教育が効果を発揮する
・大多数の領域は「意地悪な」学習環境で、早期教育での経験により間違った学びが強化される
AIが人間の仕事を奪う
・同じパターンが繰り返され、明確なルールがある「親切な」学習環境ではAIが人間の先を行く
・AIのおかげでパターンを覚える訓練をする必要がなくなった
・幅広く情報や知識を統合することこそ人間の強みである
科学者の声
クリエイティビティに関する研究を行うディーン・キース・サイモントン
「クリエイティブな成果を上げる人は幅広い興味を持っている」
国際的に有名な科学者
「誰もが自分の溝を深く掘り続けることに専念しており、もしかしたら、隣の溝に自分が抱えている問題の答えがあるかもしれないのに、立ち上がって隣を見ようとはしない」
マッチ・クオリティの重要性
マッチ・クオリティとは何か
ある仕事をする人とその仕事がどれくらい相性がいいか
マッチ・クオリティの研究
ノースウェスタン大学経済学者オファー・マラマッドによる研究
イギリス:大学に入る前に専攻を決めて、専門的な狭い範囲のプログラムに参加
スコットランド:大学の最初の2年間は様々な分野の学習ができ、それ以降もいろんな 学問を試しに学べる
=早く専攻を決めて、専門的なスキルを多く身につけるのがよい or
いろんな学問を試し、自分のマッチ・クオリティを知るのがよい
研究結果
・イギリスの大卒者はスコットランドの大卒者より高い割合で専攻とは全く別の分野に仕事を変えていた
・スコットランドの大卒者は専攻を決めるのが遅く、専門的なスキルが少ないため、最初の収入は少ないが、すぐに追いついた
=イギリスの大卒者は自分のマッチ・クオリティを知る前に専門特化したため、間違った選択をするケースが多い
=自分のマッチ・クオリティを知る効果はスキル取得の遅れによるマイナス分を上回る
なぜ将来の夢、やりたいことが見つからないのか
=自分のマッチ・クオリティをまだ知らないだけ
「いろいろな自分」を試す
心を大きく開いていれば、どんな経験からでも何かを学べる
人の性格は固定ではない
人がある特定の状況にどう対応するかはその人の性格が大きな影響を与えるが、状況が変わると性格が驚くほど変わる
=「~という状況ならば、・・・のように行動する」(文脈原則)
適職診断などの罠
「質問に答えるだけで理想的な仕事が見つかる」などのツールは自分がこれから成長し、進歩し、才能を開花させ、新しい何かを見つけることを全く考慮せずに、自己分析させようとする。それでも人は答えが欲しいため、このようなフレームワークをよく売れる。心理学者が「人は変化する」「状況によって人の性格は異なって見える」といっても気にも留めない
決断前、決断後の心構え(大学受験、就職、転職など)
・サンクコストの誤りに注意
サンクコストの誤り:何かに時間と金を費やすと、それが無駄になる気がして、手放すのが嫌になること
・自分に合っているかどうか知る前に深くかかわるリスクは大きい。また、その道は変えられないものだとは思ってはいけない
・早期に専門特化することは、まだ存在しない人間のマッチ・クオリティを予測することだといえる
・私たちは自分がどんな人間なのか実践を通じて学ぶ。理論からではない。
・やってみるまでは自分に何ができるかわかりっこない。自分の才能を見つけるためには、とにかくやってみることだ